MouthWashingのネタバレあり感想です。

ストーリーについて


まずプレーヤーが最初に行うのが『「船員の誰かが自らの意思でタルパ号を小惑星帯の隕石に船をぶつける」という宇宙航空中で絶対に遭遇したくないこと』なのには思わず笑ってしまいました。

ここからプレイヤーは「衝突前のタルパ号での様子」と「衝突後のタルパ号の様子」を交互にザッピングしながら体験していくことになります。

登場人物


  • カーリー:タルパ号の艦長
  • ジミー:タルパ号の副艦長
  • アーニャ:タルパ号の医者兼カウンセラー
  • スウォンジー:タルパ号の修理技師
  • ダイスケ:修理技師のインターン

超簡単にストーリーをまとめると


  1. 唯一の有人宇宙貨物船であるタルパ号が出航
  2. ジミーがアーニャをレ〇プもしくは強制和〇する!?!?!?!?!?
  3. アーニャがそれとなくカーリーにヘルプサインを出す(キャッチされない)
  4. アーニャが妊娠に気づく
  5. ポニー運送から倒産に伴う「解雇」通知がカーリーに届く
  6. カーリーが通知内容をクルーに吐露してしまう
  7. アーニャがカーリーに妊娠の事実をカーリーに報告する
  8. カーリーがジミーに対してアーニャにしたことに対する説明を求めるもはぐらかされる
  9. ジミーがコックピットに行って小惑星帯に航路を無理やり変更
  10. カーリーが緊急通報を受けてコックピットに行くも小惑星と衝突、全身火傷、手足末端消失、視覚以外の五感を失う
  11. ジミーが艦長代理として行動を開始(ここがストーリー開始地点)
  12. 積み荷の内容が「出来損ないのマウスウォッシュ(ほぼ酒)」であることが分かりクルーたちは絶望する
  13. アーニャが自分が妊娠していることをスウォンジーに相談する
  14. アーニャが状況に耐え切れずカーリーを安置している医務室に鍵をかけ自殺
  15. 医務室のドアを開けるためダイスケを危険な通気口へ通らせ大けが負わせる
  16. 鎮痛薬が見つからないためダイスケに「殺菌作用が期待できない」マウスウォッシュをぶっかける
  17. スウォンジーがダイスケを介錯する
  18. スウォンジーが「鎮痛薬がなくなった原因」に気が付きジミーに詰問する
  19. ジミーが拳銃でこれを鎮圧、スウォンジーを殺害
  20. ジミーが幻覚の中で幻覚のカーリーに許しを請い許してもらう!?!?!?!?!?
  21. カーリーを唯一残っていた冷凍睡眠ポッドにぶち込みジミーは拳銃自殺を行う
といった内容だったのかと。

いや~~~~ジミーお前すごいよ…初手レ〇プはなかなかないよ…せめて遭難後の絶望した状況ならわからなくもないけど、遭難前にやったってホントすごいよ…お前が何考えてたのか分かりたくないよ…!

それでは各キャラクターについての感想を書いていきましょうか。
私もマウスウォッシュ(うがい薬を使ったように心情を吐露してスッキリする行為)したいので。

カーリーについて


作中ほとんどこの姿なのかわいそう










タルパ号の正式な艦長。実績は積んできており、ポニー運送からも倒産時にクルーの中で唯一別の会社への推薦を貰っているあたり、今までの仕事でも職務を全うしてきたと考えられます。

ただ実際のところ、艦長としての責任感と仕事のノルマ達成のために精神はかなり追い詰められており(ポニー運送のブラックな規則(休憩は睡眠時間も含めて5時間!))も相まって「俺の人生はこのままでいいのかな…」と焦りを抱えていたことが分かります。時々幻覚も見るのでかなりやばい状態でした。

そのため艦長としての作業はこなせるものの、各人の抱えている問題に気が付くことができない状態に陥っていました。実際作中でアーニャはカーリーに対しヘルプサインを2回発信していますが、いずれもカーリーにはキチンと届いていませんでした。また、ジミーとは古くからの付き合いだったようで、ジミーの素行についてもあまり強く出ずなあなあで済まそうとしていた節が見受けられます。

怪我をする前の様子からクルーから(ジミーを除いて)だいぶ慕われていたことが見受けられ、ポニー運送がブラック企業じゃなかったらそれなりに「いい人生」を送れていたんじゃないかと思うとむなしい気持ちになります。

良くなかった所はジミーをポニー運送の従業員として誘ったこと、ポニー運送から来た解雇通知を会社の指示を無視してパーティの場で吐露してしまったことくらいじゃないでしょうか?

本当にそれ位しか欠点が見受けられないんですよね…アーニャのヘルプサインを見逃していたのもポニー運送のブラック規則のせいでまともに頭が回っていないせいとも言えますし…。(事実、ゲーム内でカーリーは不眠症に似た症状を持っていることが分かるし、幻覚を何回か見ている)

また、ジミーに対しても思うところがあるのか、ジミーに会いに行くシーンでコックピットまでの道のりが長くなる幻覚を見ます。よっぽど会いたくないのかな?と、友達なんだよね二人は…?

しかしジミーが航路を変更し緊急アラートが鳴り響く中コックピットに入り「艦長として」何とかしようとしたのは、カーリーの責任感の強さを表している名シーンだと思います。

呻く肉塊として過ごすようになってからはジミーから荒っぽく鎮痛薬を飲まされ(効果音に殴打音がある…)、唯一機能として残った視界からおかしくなっていくタルパ号を見ている彼が何を考えていたかは…想像もできません。最も痛みで考えすら纏まっていない可能性はありますが。

ジミーが自分のベッドの下から拳銃を見つけた際、カーリーは体を捩って笑い声を上げます。これはジミーの幻覚かもしれませんが(カーリーは動くことすらままならないのに体を捩って笑うのは少しおかしいため)、もし本当にカーリーが笑ったのだとしたら「タルパ号がもはや終末を迎えていることが分かったこと」「自分が必死に探していた銃が自分のベッドの下から出てきたことによる自嘲」から笑ったのかと思います。

大怪我を負うまで責任を果たそうとしたカーリーが迎える「生きたまま冷凍保存されてしまう」という結末はあまりにも惨く、せめて殺してやれよ…と思いました。

普通あれだけの大怪我を負って冷凍保存されても死ぬだろ…と思うのですが、このゲームのことだから冷凍保存された後に普通に救助されそう。(あと鎮痛薬しか飲まされていないのにも関わらず4~5か月も長生きしているので、不幸なことに生命力はありそうですし)

救助されても五体不満足、まともに喋ることすらできず、会社の規則で医療費は自費持ちと、死んだほうがずっとずっとマシなのが本当に救われないです。

アーニャについて


なんでやろなあ…(費用の削減でしょ)










作中でダイスケと一、二を争うくらい不幸な人です。

タルパ号の医者として働いているはずなのですが、カーリーが痛みにうめく様子が恐ろしくて投薬ができていなかったり、カーリーの投薬のことを忘れていたりと正直なんでコイツ医者として雇われたんだ?と疑問に思うレベル。

しかしそれもそのはずで、Steamで読める公式のQA(Are there any little fun facts about the characters?)によると
Anya has tried and failed to get into medical school eight times. She completed Pony Express provided nursing classes to qualify for her position on the Tulpar (valid ONLY on board Pony Express property and company jurisdiction) because she needed money so she could keep trying. She’s been reading a lot of books about psychology while on the Tulpar though... 

 アーニャは医学部に8回挑戦しましたが、失敗しました。彼女はタルパーでのポジションに就く資格を得るために、ポニー・エクスプレスが提供する看護クラスを修了しました (ポニー・エクスプレスの敷地内および会社の管轄区域内でのみ有効)。挑戦を続けるにはお金が必要だったからです。彼女はタルパーにいる間、心理学に関する本をたくさん読んでいますが...

?????????
ポニー運送君は何を考えてるんですかね…????(費用の削減でしょ)
このことからアーニャは正規の医者ですら無かったことが分かります。

そりゃカーリーの様子見て怯えるのも無理ないよ!と思いました。(投薬くらいはやろうよ…と思いつつ、あの状態のカーリーが「飲み薬」の痛み止めを自力で嚥下できるとは思えないので無理やり飲ませるしかなく、それが恐ろしくてできない…というのは分からなくもないのですが…でも投薬くらいはやろうよ…

医学部を8回も落ちるほどなので医者として全く向いていないアーニャですが、ポニー運送でなら「医者として働いて実務を積みつつ医学部再受験のための資金を稼ぐことができる…」と考えていたようです。しかし今回の事件により彼女の運命は大きく狂わされることになります。

プレイヤーがジミーを操作しているときとカーリーを操作しているときのアーニャの反応の変化に気が付いたとき、また彼女がジミーによって妊娠させられたことが分かった時背筋に冷たいものが走りました。ジミー操作時はジミーを刺激しないような口調で話していますが、カーリー操作時は若干口調が柔らかくなっているんですよね。

自分を望まない妊娠状態にさせたジミーとタルパ号という閉鎖空間で過ごさなければならない…そして航海日数からどう見積もっても荷物の届け先に着く前に子供を産まなければならない(堕胎薬なんて配送用の宇宙船にあるわけないですし)。そんな状況に置かれた彼女の心証を考えると心が痛みます。

そしてトドメがポニー運送の倒産の知らせ。「実績」は積んだことがあるとはいえ、正式な医師のライセンスを持っていない彼女が、職のあてもなく貯金もないまま一人で(ジミーが責任取るわけないので)子供を育てていかなくてはならないというのは、彼女にとってもはや絶望の海に突き落とされたようなものでしょう。

さらにカーリーが事故により呻く肉塊となって以降、彼女にとって頼れるのはスウォンジーのみとなったのですが、そのスウォンジーも酒に逃避してしまうありさま。(最もスウォンジーも酒に酔っていたとはいえ正常な判断が下せる状態でありましたが、そのことはスウォンジーのパートで…)

結果、彼女は「カーリーを安置していた医務室に鍵をかけ、鎮痛薬のODによる自殺」を選択します。わざわざカーリーの前で死んだのはカーリーに対する当てつけ(カーリーがジミーをコントロールできていればこんなことにはならなかった)もあるでしょうが、これ以上カーリーを中途半端に長生きさせずに殺したいという優しさもあった……かもしれません。OD自体、みんなが寝たことを確認すればロビーでもできますからね…。(まぁあのまま放置されていたらカーリーが死ぬまでに痛みで苦しむんですが…その辺も考えていたように思います。当てつけ8割・優しさ2割といったくらい)

あとはよっぽどジミーに会いたくなかったんでしょう。それはとても分かります。

とにかく不幸の星のもとに生まれてきたようなアーニャですが、向いていない医学の道をあきらめて他の仕事を探すことができなかったのが、彼女の不幸の始まりなのかなと思います。

最もMouthWashingの世界では人工知能が私たちの世界よりかなり発達しているようで唯一の有人宇宙配達船がポニー運送だったことから、日常の大部分が機械に置き換わっている可能性が高く、人間の就職が極めて困難なものとなっており、女性であるアーニャは何らかのスキルを身につけないと就業すらままならず「医学という潰しの利かないスキルを身に着けたい…」と考えたのかもしれませんが…。でも8回も落ちたのなら諦めようや…

カーリーパートでの誕生日パーティの様子からカーリー・ジミー・スウォンジーと働いたのは始めてではなく、今回の運送以外では業務を行えていた様子なので、今回の運送でジミーに目をつけられてしまったのが最大の不幸なのかな~と思いました。

ダイスケについて


忌々しい日差しみたいな奴










インターンとして急遽タルパ号に加えられたクルー。タルパ号には冷却ポッドが4つしかないので、このことは本当に想定外だったようです。
技術師インターンとしてスウォンジーの元、基礎から技術を叩き込まれていたようですが、物覚えはあまりよくなかった様子。

うっかりミスで防護泡につつまれちゃう










どうやら両親、とりわけ母親の意向によりポニー運送にインターンとして就職することになったようで、遭難後のマウスウォッシュ酒飲み後は「お袋には自分のことで心配かけたくないんです…」とこぼす辺りからも、今回のインターンで仕事を覚えて技術者として働いていこうと考えていたことが分かります。

あたりの厳しいスウォンジーからの嫌味も持ち前の馬鹿明るさからあまり気にしていなかったようで、むしろ厳しいながらもきちんと自分に目をかけてくれるスウォンジーに対して恩義を感じており、このまま二人で技術職として働いている様を見たかったなあ…と思うほど心根がまっすぐな青年です。ブラック企業で擦り切れていたスウォンジーが「忌々しい日差しみたいな奴」と評するのもむべなるかな。

そんなダイスケですが、最後はスウォンジーから「危険だから入るな」と散々言われていた通気口にジミーの船長命令で行かされ、大怪我を負いつつも医務室のカギを内部から開けることに成功。しかしジミーに「消毒の効果がないとわかりきっている」マウスウォッシングをぶっかけられてしまい、苦しむ姿に見かねたスウォンジーによって介錯されてしまいます。

とにかく明るい好青年でセリフも明るいものが多く、彼がいないとタルパ号の物語はより悲惨になっていたと思うと一種のコメディリリーフとして活躍していたと思います。(そのせいで上述した「お袋には自分のことで心配をかけたくないんです…」という言葉がプレイヤー(とジミー)に思くのしかかってくるわけですが…)

いやー何とか生き延びてほしかった…。本当にかわいそうなキャラです。

スウォンジーについて


持っている斧はカーリーから託されたもの
セリフからカーリーが事故を引き起こしたとは
考えていない?












タルパ号の修理技師で、その技術力は確かなもの。会社から無理やり受け持たされたインターンのダイスケを抱えながらも日々の業務をこなすタフガイでもあります。

最初のプレイヤー(ジミー)目線では最初は「厭味ったらしい偏屈なじいさん」に映るのですが、カーリー目線になるとインターンに技術を基礎から教えていることが分かったり、オンボロのタルパ号を動かせるよう尽力していることが分かるのでストーリーを進めていく内にプレイヤーの評価が大きく変わるキャラの一人かと思います。

そんなスウォンジーさんですが、積み荷がマウスウォッシュ(実質酒)しかないことが分かってからは酒浸りの日々を過ごすようになってしまいます…。が、これはどうやら演技というか現実逃避のためだったようで、事実技術室内の残った冷却ポッドが一つしかないことが分かってから技術室には誰も入れないようにしていました。

これは「一つしかない冷却ポッドの使い方で無用な争いを防ぐため」「ダイスケかアーニャを冷却ポッドに入れるか決めかねていたため」だと思われます。

ジミーに冷却ポッドが生きていることが知られれば艦長命令でジミーが使うことになりそうです。スウォンジーはジミーのことを船長と呼ばずジミ坊と呼ぶなど、ジミーのことを信用はしていないことがうかがえます。

なので助かる可能性がまだある冷却ポッドのことは黙っておいて、インターンとして厳しく接しつつも内心は立派な技術師にしてやろうと情を注いでいたダイスケを入れようと考えていたところ、アーニャから妊娠のことを聞かされアーニャとダイスケのどちらかを入れるか悩んでいた…その決断を先延ばしするために酒に溺れていた…と考えると悲しくなります。

スウォンジーが酒に酔っていても正常な判断を下せていたと考えられるシーンは、ダイスケの治療薬を探すシーンですね。あそこで医務室にいるスウォンジーに話しかけることができるのですが、スウォンジーは真っ先に治療薬があるであろう医務室に向かっています。正常な判断を下せないほど壊れていたら医務室以外に行くわけないんだよなあ…(われらがジミーは貨物室に行って「幻覚との大冒険」の末「役立たずのマウスウォッシュ」を手に入れるのですが)

少しストーリー解釈に困るシーンとして、コックピットに籠るジミーを斧を持ったスウォンジーが襲おうとするシーンがあるのですが、これが実際に起きたことなのかはちょっと判断に困ります。おそらくダイスケを救える可能性があったイソプロピルを「自分を眠らさせるためだけに使われた」ことに気が付き、その事についてジミーを問い詰めたのは確かだと思うのですが、実際にコックピットでジミーを襲ったかどうかは定かではないんですよね。

これはジミーと椅子に縛られたスウォンジーが対面で会話するシーンが挟まっているためです。もしジミーを斧で襲ったのであればジミーがスウォンジーを撃ち殺すでしょうから、話を黙って聞いている理由があまり考えられなくて…。

筋が通る解釈としては「スウォンジーがダイスケの件でジミーに斧を持ちながら問い詰める」→「ジミーが拳銃を使ってスウォンジーを無力化し椅子に縛り付ける」です。

スウォンジーとの対談自体がジミーの妄想説もありえなくはないのですが、ジミーがスウォンジーの内面が分かるような話を妄想できるとは考えられないので、対談自体はあったのだと思います。コックピットで襲われたのかどうかは…判断がしづらいですね。

スウォンジーとの対面シーン
妄想なのか現実なのか











最終的に苦しむダイスケをカーリーから託された「責任」の象徴たる斧で介錯するシーンはジミーの行動と正反対であり、最後まで責任をもって行動していたキャラだと思います。また公式のQAから家族を大事に思っていることが分かり余計苦しくなります…。

ジミーについて


本当に気持ち悪いよ…
お前が何を考えているのか分かりたくないよ…











ジミーはタルパ号の副船長として勤務しています。
…いるのですがちゃんと仕事をこなしているのかはちょっと疑問が残ります。

例えばダイスケが防護泡に包まれて動けなくなっているシーン。技術室の前にジミーは立っているのですが…特に何もしていません。これは艦長じゃないとダイスケを助けるための斧を取り出せないから…ということもあるのですが、別に二人の仲裁に入るわけでもなく、カーリーに「ダイスケの馬鹿がまたやらかしたぞ」と報告しに来ることもなく、ただ静観しているだけなんですよね。いや艦長に報告しろよ何突っ立ってんだよ。

仕事をこなしているかどうかの判定はアーニャが行うカウンセリングで行っているようなのですが、それに対しても「俺はアニメの馬に興奮する」などと返答する始末。レ〇プしといてよく言えるよ何考えてるんだよコイツ…

また、カーリーから「このままこの職場で働き続けていいのか悩んでいる」と打ち明けられた際に「梯子の天辺に上ってそう考えたわけだ。俺はまだ梯子の途中だがな」というように艦長としてうまくいっている(ように見える)カーリーに対して嫉妬心を抱いている節も見受けられます。

どうもカーリーのコネでポニー運送に入社できたようで、プレイヤーが見ている限りだとジミーがやっていることはカーリーの真似事か、幻覚の中で大冒険したつもりになっている所しかなく、本当に今まで副艦長として仕事ができていたのかプレイヤー目線では判断できないんですよね。

遭難後のタルパ号でも船員たちを上手くまとめられていたかというとそうでもないですし…。

タルパ号自体オートパイロットが搭載されており、艦長または副艦長がコックピットで行うことはオートパイロットが危険を察知したら航路を変更する程度の仕事しかないようで、ますますジミーが副艦長として何をしているのか全く分からない…。

また、カーリーがパーティの場でポニー運送からの解雇を吐露してしまったシーン。ここでは他のクルーはショックを受けつつも「これから自分はどうしよう?」と将来を考えているのに対しジミーだけカーリーを強く非難しています。

解雇を決めたのはポニー運送なので今カーリーを責めても何も解決しません。こいつ艦内の空気を悪くすることに掛けてはプロ級だな…。(まあポニー運送が「到着してから通達するように」と指示していたにも関わらず無視して吐露したカーリーも悪いのですが)

しまいにはアーニャから妊娠の事実を聞かされたカーリーがジミーを問い詰めた際のセリフが上述の画像のセリフです。ど、ど、どういうロジックだとそうなるの…?????

とにかく自己保身に走り、艦長の座につきながらキャリアに悩むカーリーに嫉妬し、挙句の果てには船を小惑星にぶつけて大惨事を起こすわ、事故を起こしといて後悔している様子でもう…何なのコイツ??

ただジミーの持つ「知人は成功していくのに自分は落ちぶれたまま」「知人の助けがないと何もできない」「有事の際の責任は取りたくない」といった気持ちは大小あれど人間の持つ感情としては理解できるものではあるんですよね。

思うにアーニャへのレ〇プも小惑星への激突事故も、カーリーの管理責任を傷つけるために行ったもの、と考えると「ただ嫉妬に狂ってしまった哀れな男」と見れます。

ジミーパートでの幻覚では責任の象徴として「ポニー運送のマスコットであるポレ」と「赤子の鳴き声」が頻繁に登場します。このことから「ブラックなポニー運送でも艦長として成功したカーリーへの嫉妬」「いざ艦長として船内を収めようとしても能力(と人望)が足らず空回りしてしまう焦り」「孕ませてしまったアーニャの赤子に対する責任」がジミーにのしかかっていることが分かります。(アーニャは幻覚として現れないため、あくまでも責任を感じているのはできてしまった赤子をどうするかであってアーニャに対しては特に責任を感じていなさそうなのが屑すぎて笑うしかない)

楽しいパーティ♪









そうしてついに狂ったジミーはカーリーの足を切断し食べることで生き延びていたようです。上記の画像は死体が動いていて幻覚っぽい雰囲気を醸し出しているのですが、このシーンの後クルーの死体はぐったりと椅子にもたれかかるところ、パーティの飾りは消えないこと、最後のパズルでカーリーに足を食わせるシーンからマジでパーティをセッティングしてカーリーの足を切って食っていたんだと思います。コイツやばいよ…。

クッソ軽薄な謝罪で笑えない










そんなジミーも犯した罪の重さに耐え切れなくなってしまい「幻覚の中で」カーリーに謝ります。そして「幻覚のカーリー」に許してもらいます。現実のカーリーは訳も分からないまま、いきなり自分の足を食わされて吐きそうになっているにもかかわらずです。すごいぞこの男は…。

最終的にカーリーを唯一残った冷凍ポッドに入れて、拳銃自殺を行います。
この時プレイヤーはカーリー目線で視点を動かせるのがものすごく趣味が悪いなあと思いました。(ED中に冷却が進み動けなくなってしまうのもポイントが高い)

ジミーは…どうすればよかったんでしょうかね。ゲーム内では本当に救いようのない悪役として描かれているのですが、その行動のもととなる感情は誰もが持ちうる「嫉妬」です。そしてその嫉妬が膨れ上がる原因もポニー運送のクソブラック体質による休憩時間の短さも影響があるでしょう。人は睡眠時間が短くなると狂ってしまうんじゃ(経験談)

私はゲーム内で犯したジミーの所業は決して許されるものではないし、ジミーのことは嫌いなのですが…さりとて彼の持つ「嫉妬」という感情は理解できてしまうので、どうしてこうなってしまったんだろうなあ…。と考えてしまいます。

作中で何度か「俺たち二人で乗り越えよう」とジミーとカーリーが話すシーンがあります。このことから若いころは対等に、二人で困難を乗り越えてきたのだと推察できるため余計に今のどうしようもない状態が…ただ悲しい。

そのほか吐き出したいこと


これ載せて大丈夫だよね!?










カーリーから許しを得たジミーが「責任を果たす」ため、幻覚の中で謎の肉塊(なんやろなあ)をエコー診察して「馬型の何か」を消滅させるミニゲームがありますが、初見時「ええ…」ってドン引きしましたね…。もうアーニャは死んでいるのに赤子を消滅させないと…って考えるあたりよっぽど責任を取りたくなかったようです。じゃあレ〇プするにもゴムつけてやれよ…

そのあと肉塊からムカデ状のポレが飛び出して「怪物」と対峙するシーンでは初見ではクリア判定が分からず逃げ回っていたのですが、どうやら二回攻撃を避けて最後攻撃を受ければOKのようです。

この時、ムカデ状のポレはかなり高速で動き回るのですが、ジミーがポレに視線を合わせると一瞬だけ動きを止めるんですね。これはジミーが責任から目を逸らさず、責任を取れば良かったことを暗示しているようにも思います。(単純に難しすぎるから救済措置で入れられたのかもしれませんが)


クルーのIDカード










クルーのIDカードであふれる廊下を通る際に、よく見るとジミー・ダイスケ・スウォンジーの写真は顔が見えるように配置されているのですが、カーリーとアーニャの顔は見えないようになっています。これはカーリーとアーニャに行った所業への責任から目を背けていることの表れかと思います。(じゃあスウォンジーとダイスケに対しては特に何も考えてないのか…)


「責任」からは目を逸らしてないから…










おそらくプレイヤーの誰もが笑うしかないぞ…と思ったであろうシーンです。
「責任」と書かれた紙を見つめながら後退することでシーンが進むのですが、ここでジミーは「責任」から目を逸らせない状態に追い詰められていることが分かります。

なんでそういうところはまともな感性なんだコイツ…。ほんと…普通の感性を持ちながら「巨大な嫉妬」と「睡眠不足」で人ってここまで狂えるんだなあ…と思わせるいいシーン…いやそうかな…そうかも…どうかな…。

最後に


みんな!睡眠時間だけはしっかり取ろうな!!!
眠れなくて狂った人間からの忠告だぞ!!!!(今は眠れているので安心してください😊)